河合塾が労働委員会の命令を無視

当組合が、学校法人河合塾を相手取って不当労働行為救済申立をしていた事件について、2016年8月に、愛知県労働委員会が救済命令(以下「初審命令」とする)を出し、佐々木書記長の復職、バックペイ、謝罪文の交付等を命じたことについては、すでにお知らせした通りです。詳細はこちらをご覧ください。

 

また、厚生労働省中央労働委員会も、同年10月17日付けの文書で、河合塾に対して初審命令の履行を求めました。

 

しかし、河合塾当局は、この初審命令を未だに履行しようとせず、佐々木書記長の復職等は実現されておりません。

 

河合塾当局が初審命令を履行しない理由について、当組合が問いただしたところ、河合塾当局の回答は以下の通りでした。

 本件についてはまず、以下のURLを見てください。


http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a155016.htm


このURLは「不当労働行為に対する労働委員会の救済命令不履行に関する質問趣意書」に対して、当時の政府が見解を示したものです。


以下はその抜粋になりますが、


「救済命令については、使用者は中央労働委員会に再審査の申し立てをし、(中略)こうした再審査の申立がなされ、(中略)当該命令が確定しない間は、(中略)使用者は刑罰又は行政罰により当該救済命令の履行を強制されることはない。」と回答されています。


このような見解に加え、当塾は、本件命令のうち河合塾の主張が認められなかった部分については、明らかな誤りがあると考えているため、当塾が適切と判断する対応をしているものです。


この点、この対応が違法か否かを組合と論じる意味を認めません。

しかし、河合塾当局が引用する政府見解は、「初審命令が罰則によって強制されることはない」旨述べてはいますが、「初審命令に従わなくてもよい」などと述べたわけではありません。それどころか、この政府の答弁書には「救済命令を命ぜられた使用者は、その確定に至る前においてもその命令を履行しなければならない行政上の義務を負うことになる」と明記されています。

 

この点、法律上も、不当労働行為救済命令が出た場合には、その効力は命令交付の日から効力を生じ(労組法27条の12-4項)、使用者は遅滞なくその命令を履行しなければならず(労委規則45条1項)、中央労働委員会に再審査を申し立て、あるいは救済命令の取り消し訴訟を提起しても、命令の効力は停止しない(労組法27条の15-1項、行訴法25条1項)とされています。

 

よって、河合塾当局が、前述のように愛知県労働委員会の命令に従わず、佐々木書記長の復職等を履行しないことは、明白な法律違反です。

 

 

ところで、河合塾のホームページには、以下のことが誇らしげに掲げられています。

 教育という責任の重い事業を柱にしていることを十分に認識し、コンプライアンスの徹底に取り組んでいます。教育に携わる者として社会から信頼される存在であり続けるために、法令、社会規範、倫理などを遵守し、社会と共有できる価値観や判断基準に従って行動することに努めています。(2017年4月現在)